過去の入試説明会等での講演内容からの抜粋です。身分・所属等は、とくに断りがない限り、当時のものです。

和田 雄太 わだ ゆうた

司法修習生
(平成29年6月現在)

会計士から
法科大学院へ

私は経済学部出身で3年間会計士として働いた後、未修者コースに入学し、28年春に修了しました。検察官志望で法科大学院に進学したのですが、その理由は、会計士の仕事は会社から報酬をもらってその会社を監査するので追及が緩くなる。それで会計監査の仕事以外で会計士としての知識、経験を活かして厳しく追及できる仕事はないかと考えたときに、ちょうど大阪地検の事件の記事を見て、検察官という仕事もあるなと思い、また、もともと経済学部出身で、刑事司法を経済学的に分析したら面白いだろうなとも考えていました。それで法学を基礎から学びたいと思ったのです。 法学に対する印象としては、経済学や自然科学と違って、法律や判例が時代とともに変化したり、ある学説が正しいかどうかを実験や実証で確かめられないといった、相対性という点が特徴だと思いました。また、社会的影響が大きいというのも特徴で、会計基準が変わっても多分ほとんどの人は興味ないと思いますが、新しい判例が出たり新しい法律ができると社会ががらっと変わる。それと、薬事法における薬学、労働法における労働経済学のように、他の分野の知識が、法律の立法段階や適用段階、それぞれの段階で関わってくることも、法学の面白さだと思います。

京都で学ぶ
ということ

私が京都に来たのは、それまで一度も関東から出たことがなく、裁判官や検察官だと転勤が多いので関東以外の経験があった方がいいし、ずっと東京で弁護士をするなら一度くらいは関東以外に住んでおきたいと思ったからです。京都の良さとしては、大学の近くに安く住めることと、勉強の合間にリフレッシュしたいときに、すぐにこの鴨川のような景色のいい場所を散歩できることがあります。

就職活動については、検察庁のイベントが大阪や京都で開かれたり、東京の法律事務所の説明会も京都で行われたりしますので、参加する機会は非常に多いです。

教育面では、ロースクールの授業は司法試験の役に立つのかとよく聞かれるのですが、京大の場合、ほとんどの授業で司法試験の勉強に直結するような教材を使っていますので、それは大いに役に立ちます。また、問題演習についてどうしても分量が足りないと思ったら、自主ゼミで市販の教材などを使って皆でわいわいやりながら勉強していました。

自分が体験した中で特に教育の充実を感じたのは、質問対応とリサーチペーパーです。質問は原則として授業の後やオフィスアワーにすることになっていますが、先生によってはメールでの質問に対しても丁寧に対応してくれました。ある学説が分からなかったのでダメもとで尋ねたら、その説の趣旨や調べるべき文献などを丁寧に説明してもらえました。一流の教授陣に直接質問できるという環境は非常に貴重です。また、未修者はごく基礎的なところで疑問を持ったりしがちですが、そういう疑問もその都度解消できます。授業後の質問やオフィスアワーも含め、大規模校であるにもかかわらず非常に親切に対応してくれると思いました。

リサーチペーパーは、指定の科目を履修した上で、自分の興味のある内容について、指導を受けながら1万字くらいの論文を書くと単位がもらえるというものです。単なる勉強なら自宅や予備校あるいは実務に出てからもできるかもしれませんが、リサーチを行うには法科大学院は随一の場所です。蔵書は豊富ですし、一流の教授陣から指導を受けられます。たくさんの文献を探して膨大な情報の中から必要な情報を自ら拾い、自分の力で文章にまとめあげる、こういうことを訓練する機会としては、ほとんど唯一のものだと思います。

リサーチペーパーや質問に限らず、京都大学法科大学院は、自ら積極的に学ぶ姿勢を見せればとても丁寧に対応してもらえる環境だと思います。

(平成28年6月25日/7月2日)