過去の入試説明会等での講演内容からの抜粋です。身分・所属等は、とくに断りがない限り、当時のものです。
髙橋 直樹
小島国際法律事務所(東京)
2005年入学/ 2007年修了
京都大学法学部 卒
法科大学院で学ぶ意義
私は東京の所属弁護士20名程度の渉外企業法務事務所で働いています。国内外の企業からの多種多様な依頼に対応しており、英文契約書のレビュー・外国企業の日本子会社の設立や清算の手続の支援・日本の裁判所での訴訟手続の代理・ICCやJCAA等の仲裁機関の下での国際仲裁手続の代理等の業務を行っています。任期付公務員として2年半ほど経済産業省に勤務し、TPPや日EU・EPA等の経済連携協定や投資協定に関する外国政府との交渉にも参加しました。簡単でない業務も多いですが、試行錯誤しながら、少しでもよいサービスを提供できるようにと日々奮闘しています。
法科大学院で学ぶ意義は、知識を詰め込むだけでなく、特に六法や行政法といった基幹科目について深く考えることにより、法律に関する本質的な理解を得たり、困難な法的問題を解決する能力を身に付けたりすることだと思います。簡単には答えが出ない問題について考え、関連する論文を読み、他の学生と議論して教授の講義を受けるという過程を通じて、根本から深く理解しようとする習慣が身に付くと思いますし、また、問題を掘り下げて考える能力も養えると思います。弁護士として働く中で簡単に答えが見つからない問題に遭遇するも少なくないですが、法科大学院で養われた深く考える習慣と問題を掘り下げて考える能力は解決策を何とか見出す上で非常に役に立っています。
京都大学法科大学院の魅力
学ぶ意義
京都大学法科大学院の魅力の1つ目は教授陣とその教育方針だと思います。最先端の研究を行っておられる教授陣が、司法試験の合格だけでなく法曹になった後を見据え、学生に深く考えさせる方針を徹底されていると思います。日々の業務において知識だけで対応できる法的問題は少ないです。在学当時は掘り下げても明確な回答が出ないことにモヤモヤもしましたが、安易に回答が示されないことで法曹になった後に役に立つ能力やスキルを磨いてもらっていたのだろうと思います。自分の頭で考えられないと法曹になってから苦労するので、法科大学院が学生に考えさせることを重視する教育方針を採用していることは重要だと思います。
京都大学法科大学院の魅力の2つ目は学生のレベルが高いことだと思います。頭の回転が速くて深く考えることができる人達が身近にいて、そのような人達との議論を通じて多くのことを学ばせてもらいました。また、勤勉な人が多く、勉強をして当たり前という雰囲気もよいプレッシャーになっていました。法科大学院で2年か3年という短くない時間を過ごすので、良い影響を与えてくれる人達が周囲にいることは非常に重要だと思います。
京都大学法科大学院の魅力の3つ目は大学周辺の街の雰囲気だと思います。就職後に東京に住んでいますが慌ただしく感じます。京都大学の周囲の雰囲気はゆったりとしていたと思います。ゆったりとした雰囲気は落ち着いて物事を深く考える教育方針と相性がよかったように感じています。自分に合う環境で勉強できるかも1つの考慮要素だと思います。
弁護士として10年以上働いたいま振り返ってみて、落ち着いた雰囲気の中で、レベルの高い人達と切磋琢磨しながら、法律を深く掘り下げて考えることができた時間はとても貴重であったと感じています。
これから京都大学法科大学院で勉強される方々におかれましては、法曹になった後のことも見据えて、深く考える習慣と問題を掘り下げて考える能力を身に付けることを心掛け、法曹として大いに活躍していただけると良いなと思っています。