過去の入試説明会等での講演内容からの抜粋です。身分・所属等は、とくに断りがない限り、当時のものです。


崔 加奈

さい かな

パナソニックインダストリー株式会社

2014年入学/ 2017年修了
早稲田大学国際教養学部 卒

私は、弁護士になって以来、大規模法律事務所、中規模法律事務所、企業と様々な場所で働いてきました。それらの全ての場所での経験が、私の今のスキルや、仕事、人的財産等に繋がっていると感じています。このように、自分のキャリアを、自分の関心や価値観、働き方、希望するライフワークバランス等に応じて、柔軟に設計し、ときには組織を跨いだ横断的なキャリア形成もできるところが、弁護士資格取得の大きなメリットだと感じています。


このような多様なキャリアのうち、どれを選んだとしても、共通して重要になってくるのは、法を読み解き、事実に当てはめて、問題を解決していく、法的な思考力です。
このような思考力を高めるうえで、京都大学法科大学院には、素晴らしい環境が整っていると思います。


まず、京都大学法科大学院の教授陣は、いわば法的な思考力を極限まで磨き上げた達人です。授業中の教授とのソクラテスや、授業後の質問・会話を通じて、達人の思考を辿ることができたのは、法的な思考力の向上に直結したと思います。
特に、私にとって、授業後の質問から得られる経験は大きかったです。自分の中で考え尽くした疑問を教授にぶつけ、教えを受けたり、ときに議論したりすることで、さらに深い理解を得ることができました。私の質問に、いつも親切に、そして真摯に向き合って答えてくれる教授がいたので、私は法律を好きになることができました。
次に、同級生についてです。京都大学法科大学院の同級生は、とても優秀で、真面目でした。ゼミを開いて答案を添削しあうと、自分では到底気づけなかった答案の矛盾点等を、鋭く指摘してくれる同級生に恵まれました。司法試験合格という共通目標があるので、「どの答案もいいところがあるね」といった曖昧な結論だけで終わるのではなく、改善点まで指摘し合える関係がありました。こういった級友の中で勉強できたことはとても幸運でした。


このような最高の師と仲間に恵まれ、私にとって、京都大学法科大学院での3年間は、単に司法試験受験のための勉強をした3年間というよりは、「法」という学問に、自分なりにとことん向き合った3年間でした。
もしかしたら、人生で初めて、学ぶこと、知的好奇心を満たすことを「楽しい!」と思った3年間だったかもしれません。私の人生にとってとても貴重で、贅沢な経験だったと思います。


最後に、このように京都大学法科大学院には素晴らしい環境が揃っていますが、注意すべき点もあります。前述のとおり、京都大学法科大学院は、ただ知識を与えるというより、法的な思考力を鍛えることを重視した教育を行うので、楽しい反面、学ぶことは深く、多く、またときに未修の初学者に取っては掴みどころがなく、その意味で、道は、苦しく険しいともいえます。険しい道を進む覚悟は必要になりますが、覚悟がある人にとっては大いに進む価値のある道だと思います。