過去の入試説明会等での講演内容からの抜粋です。身分・所属等は、とくに断りがない限り、当時のものです。
小田 瑞穂
大江橋法律事務所(名古屋・大阪)
2012年入学/ 2014年修了
京都大学法学部 卒
弁護士の
仕事の魅力
私は今、弁護士として、名古屋と大阪の事務所を兼務して働いています。主な仕事の内容は、M&Aで会社を買収するときのデューデリジェンス、グループ内外の組織再編における各種手続の検討や契約書の作成、訴訟や労働審判手続の担当、人事・労務案件や株主総会に関する助言など様々です。毎日多くのクライアントとやり取りを重ねて仕事をしていく中で、多様な業種におけるビジネスのダイナミズムの一端を垣間見ることができたり、職業を問わず直面するような職場・人間関係の悩みに触れたりと、生の案件から得られる経験を糧に楽しく仕事をしています。また、紛争が顕在化した後に担当する案件も多くありますが、紛争を予防するために配慮して契約書を作ったり、新しいビジネスを検討する際に法的な助言を行ったりと、関係する当事者が全員前向きな気持ちで取り組んでいる案件で活躍できる点も弁護士としてのやりがいを感じる部分です。
京大
ロースクール
の魅力
弁護士になった後で、改めて京大ロースクールに行って良かったと感じることは多々あります。
まず一つ目は、ロースクールにおいて、生涯の学習の基礎となる法律的な考え方を徹底的に身に着けることができる授業が行われているところです。京大ロースクールでは、単に司法試験に受かるための授業ではなく、法律的なものの考え方というものを根本的に理解するための授業が行われています。働き始めてから身に染みて実感しているのですが、弁護士が実務で直面する法律の中には、これまでに扱ったことがないような条文が多々あります。読んだことがない、ましてや授業で教えてもらったこともない法律を理解していく上で必須となる、法的思考の基礎的な体力は京大ロースクール時代に培ったものだと感じています。なお、単に司法試験に受かるための授業ではないと言いましたが、京大ロースクールの授業のレベルは非常に高いので、その授業についていくことが出来さえすれば、司法試験に合格できる水準に達していると実感でき、モチベーションを維持することにも役立ちました。
二つ目は、京大ロースクールの教授陣から直接授業を受けることができるという点です。私は京都大学から京大ロースクールへと進学したので、京大の中にいるときはあまり意識することができませんでしたが、京大ロースクールの先生方から毎日授業を受けることができたのは、今の自分にとって本当に大きな財産です。働き始めてから、京大ローで授業を受け持っていただいた先生に意見書の依頼をしたことがありますが、一度卒業して弁護士になってしまうと、仕事の依頼という形をとらなければ意見を伺うことが難しい教授から、直接授業で解説してもらったり質問に回答してもらったりできるというのがどれほど貴重な体験だったのか、改めて実感しました。
三つ目に、共に切磋琢磨できる友人を作ることができるという点が挙げられます。ロースクール時代、授業の予習や復習のために一緒に勉強会を行っていた仲間とは、今も頻繁に連絡を取り合う関係性を築けています。京大ローは授業のレベルが高い分、予習・復習のハードルも高いですが、その分、勉強会を開催した友人とは濃密な時間を過ごすことができました。働き始めてみると、仕事のプレッシャーもなく、単に自分のためだけに勉強をすればよいというのが、いかに楽しく自由な時間であったかとしみじみすることが多いですが、そのように過去を振り返ることができるのも、やはり互いに刺激し合い、支え合うことのできる仲間がいたからではないかと感じています。
色々と述べてきましたが、弁護士に限らず、どの道に進んだとしても、法曹は生涯勉学の楽しみとやりがいを味わうことのできる面白い仕事です。進路について考えていらっしゃる皆さんも、ぜひともロースクールに入って伸び伸びと勉学に励み、法曹を目指していただければと思います。